【不登校本レビュー】学校に行きたくない君へ 全国不登校新聞社編 ポプラ社

不登校本レビュー

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NPO法人全国不登校新聞社が発行する不登校新聞に掲載された著名人へのインタビュー記事をまとめています。

こちらはインタビューの聞き手が元不登校児ということもあって非常に読み応えのある記事にしあがっています。

しかも、ああ、なるほど、成功した人には成功しただけの哲学があったのだ!と心の底から感嘆しました。

エリート記者が聞き手ではないし、元不登校児たちが著名人たちの過去の言動や他の出版物を調べてからインタビューに臨んでいますので、著名人たちの返答も丁寧で核心に迫るものとなっています。

田口トモロヲさんに至っては、通常1時間で終わるインタビューが、田口さん本人から「もう少し、ちゃんと話したい」と連絡が入り、再度取材。5時間を超えるインタビューになったそうです。

偉そうな説教本でもないし、リアルな苦悩・葛藤が、苦難を乗り越えた瞬間の輝きが、生き続けるための知恵がストレートに伝わってきます。

インタビューされる側の著名人たちは不登校・ひきこもり経験者の方もいますし、そうでない方もいます。

今すぐにアマゾンか楽天で取り寄せるなり、図書館で借りてください。新刊ではないのですぐに借りられます。(押し付けがましい?)

私の一押しインタビューは

樹木希林さん

リリー・フランキーさん

雨宮処凛さん

田口トモロヲさん

いや、全員かな?

ぐっと引き込まれて私は1時間ちょっとで全て読み終えました。

不登校からの復活ストーリーが続く中で異彩を放っていたのが、小熊英二さんのインタビュー記事です。小熊さんは明治までさかのぼる日本の学校の成り立ち・当時の社会状況から不登校を語ります。そんな視点があったのかと驚かされました。元祖リスカ嬢も出てきます(笑)

不登校が素晴らしいとは思わないけれど、なぜ学校に行けない子がいるのか?学校というものはそもそもどんな場所だったのか?思春期の揺れ動く気持ち。深く考えさせられる本です。

現役不登校児に読んで欲しいな~。

元不登校児がこんな問いをリリー・フランキーさんに投げかけます。

インタビュアー 私は自分に自信がないというか、自分がブレるのがイヤなんです。

リリー・フランキー 君はいくつ?18歳か。18歳で自信満々なやつなんてイライラするよ。「なんなんだよ、このガキ。もっと揺らげよ」って。「お前には情緒ってものがないのか」って。

思春期の揺らぐ気持ちを情緒と訳すセンスに脱帽です。

不登校の本を読んで笑っている私を家族がチラチラと見ています。そんなにその本面白いの?って。

この本は、説教もしない、正論も述べない、叱咤激励もない。ただ著名人たちが好き勝手言っている。考え方も多種多様、不登校について著名人たちが語っているけれど切り口は様々。世界が広がったように感じます。

不登校児のご両親には内田樹さんのこの言葉を贈ります。

子どもが親に望んでいるのは愛情よりもむしろ敬意だと僕は思います。敬意を「距離」と言い換えてもいい。親が子どもを「未知なるものと」と認めて、少し遠い距離から、まぶしげにみつめるというような扱いのほうが子どもとしてはたぶん居心地がいいんです。

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